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東海第二原発の再稼働審査を問う! 原子力規制委員会院内ヒアリング集会(3) 〜首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな〜 報告

東海第二原発の再稼働審査を問う!

原子力規制委員会院内ヒアリング集会(3)

〜首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな〜

報告

 

 去る7月13日に院内ヒアリング集会を実施したので簡単に結果を報告する。

 まず、配付資料などの説明の後、質問文作成者から短時間で概要説明をした。

 数分の休憩後14時から原子力規制庁から11名(中座を含めると14名)が入室、質問に対する回答と追及を逐次行った。

 原子力規制庁が、2時間に渡って個々の質問に対して現在の審査の状況を説明・回答した。が、残念ながら「しっかり審査したからこれで大丈夫、ご安心を」という説明では全く無かった。逆に、安全・安心の確信もなく事業者(日本原電)の説明を鵜呑みにして無理に「合格」を出したあるいはこれから出す、そんな回答であった。

 炉心安定・原子炉停止は日本原電任せで安心できない、ケーブルの難燃化率は日本原電説明で52%(全長1400kmのうちの「安全系」400kmの中の比率)、ブローアウトパネルの次の加振試験は非公開、津波が来ても船舶漂流はしないと判断(日本原電説明)、近くの東海再処理工場の事故を全く想定していない、透明性重視と言いながら工事計画耐震審査で裕度を「黒枠・白抜き」との指摘に無回答、「経理的基礎」について審査書では「経理的基礎に係る規定に関する審査結果は、別途とりまとめる」としておりパブコメ対象から除外、などが明らかになった。

 また、炉規法に基づき総ての原発の審査は独立で行っていることが判明、(吉田所長以下の1〜4号機の制御に苦労し失敗した)イチエフ事故教訓を全く生かさずに、複合機の稼働とそのトラブルについては何ら考慮せずに審査していることを発見した。

 

 すでにこの動画が次にアップされているので詳細はこちらをご覧願います。

https://www.youtube.com/watch?v=jVStojGcOSE

20180713UPLAN東海第二原発の再稼働審査を問う!〜首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな〜

【前半】事前学習会(00:00:00〜00:40:53)

【後半】原子力規制庁ヒアリング(00:40:53〜03:00:00)

また、IWJでも公開されます。

 

(院内ヒアリング集会次第)

東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員会院内ヒアリング集会(3)

〜首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな〜

 

日時:7月13日(金)13時15分〜16時30分

場所:衆議院第二議員会館第一会議室

出席:原子力規制庁(14時〜16時)

長官官房総務課広報室、技術基盤グループ、規制部審査グループ、放射線防護グループ

紹介:衆議院 大河原まさこ議員

共催:再稼働阻止全国ネットワーク

   とめよう!東海第二原発首都圏連絡会

 

質問項目:

1 炉心安定性と原子炉停止問題

2 ケーブル火災について

3 ブローアウトパネルと加振試験問題

4 津波による漂流物の問題

5 東海第二原発の安全性にとって東海再処理工場の事故からの影響を考慮することは必須課題

6 「爆発」事故発生のきっかけの一つとして津波

7 審査情報公開

8 前回までの質問・回答への追加質問

  (耐震評価、経理的基礎、核のゴミ、運転延長審査、深層防護)

 

質問予定:(首都圏)山崎久隆、木村雅英

     (茨城県)川澄敏雄、大石光伸、相沢一正、披田信一郎

      集会参加者

 

集会次第案(13時〜17時)

13時00分〜 通行証配布開始

13時15分〜 開会

13時20分〜13時55分 事前学習会

休憩(5分)

14時00分〜16時00分 原子力規制庁ヒアリング

16時00分〜16時30分 事後意見交換会

 

配付資料:

 質問文(8頁)、「パブコメ意見を書こう!8月3日(金)締切」

集会参加者:約50名

 

ヒアリング結果の概要

1 炉心安定性と原子炉停止問題

 沸騰水型軽水炉は出力が不安定にあり出力発振現象の発生可能性を質疑。規制委は原子炉制御について日本原電の説明を回答するのみ。また、水位計を6個に増やしているがその扱いを含めてほとんどの対応がマニュアル処理(パッシブ処理は一部)であり、安心できるものではない。

 お湯を沸かして発電するために、何ゆえにこれほど難しい制御をして核分裂反応を起こさないといけないのか?

2 ケーブル火災について

 「高エネルギー・アーク損傷火災」対策として電気盤の改善を原子力規制庁が指示。難燃性能が必要と認識。防火シートを巻く複合体の逆効果についての指摘には答えず、「検知器と自動消火装置を付ける」との回答だが具体性ゼロ。東電の新座でのケーブル火災事故を見ても、危険性が大きいOFケーブルの使用はやめるべきなのに、「安全系でないから」と放置する態度。

OFケーブルを他の川内・玄海・大飯・高浜・美浜・伊方で使用し続けていることも明らかになった。ケーブルの難燃化率については、日本原電が言っている「52%」を繰り返した。実際には、全長1400kmのうちの「安全系」400kmの中での比率に過ぎず、ケーブル全体の中での難燃化率は40%に過ぎず、残りは何もしないか、防火シートで誤魔化す計画。

3 ブローアウトパネルと加振試験問題

 ブローアウトパネルについて、加振試験で不具合が出たので日本原電が閂(かんぬき)追加など設計変更をしているが、これは性能要求をしている設置変更許可に遡るものではない。次のブローアウトパネルの加振試験(7月下旬予定)は規制委員が行く予定がないので非公開。

 7月10日の審査会合に提出された原電の「改良案」は、肝心の閂の構造を示す図は、白塗りとされ、規制庁側でさえ「これが、営業秘密なのか」と疑問を呈される始末だが、「白塗りを改めて出しなおせ」とは言わず。

4 津波による漂流物の問題

 東日本大震災では大型貨物船の船首が岸壁に乗り上げた。東海第二については、日立港と常陸那珂港に津波が押し寄せる、原発サイトに津波が来ても耐えられることを日本原電が確認。「船舶は緊急に離岸するようになっているから問題ない」と言うが、どのように各船舶に連絡するかは未検討。「大きな漂流物は、東海第二には到達しない事をシミュレーションで確認している。「もし、小さな漁船などが流されてきても、防潮壁などは耐えられる」と言うが、具体的なデータは示されず。

5 東海第二原発の安全性にとって東海再処理工場の事故からの影響を考慮することは必須課題。

 ところが、東海第二の審査で核のゴミで一杯の再処理工場は考慮外、東海原発とは敷地を共有している為に考慮。

 炉規法に基づき総ての原発の審査は施設ごとに独立で行っていることが判明。「新規制基準」では、立地のみならず審査においても、イチエフ事故収束(爆発回避)の為の吉田所長以下の1〜4号機の制御の苦労の教訓が全く生かさていないことが判明。

6 「爆発」事故発生のきっかけの一つとして津波

 再処理工場の「重大事故等発生」は規定も想定もしていない。東海原発の火災発生については敷地を共有しているので検討している。

7 審査情報公開

 原子力規制委員会としては審査書類の公開など透明性を配慮と回答。しかしながら、審査会合の中継打ち切りと一週間後の公開、耐震評価で「裕度」計算結果を「黒枠・白抜き」など、「営業機密」を口実に重要な結果を公開しないことを追及。

8 前回までの質問・回答への追加質問

 時間切れで、駆け足の回答。

(1)耐震評価を工事計画審査で開始。モデル検証も予測も不確かで不合格と指摘。

(2)経理的基礎の審査に関して、東電は審査対象ではない、日本原電への資金支援について監督する東電について経産省に説明を求めている、パブコメは技術的内容を意見聴取で「経理的基礎」はパブコメ対象外。銀行から長期借り入れもできない日本原電に経理的基礎は無い、気にせずにどんどん経理的基礎についてもパブコメ意見を出そう。

(3)周辺の核のゴミは審査で考慮、プルトニウムは原子力委員会が担当。

(4)運転延長は審査中(原子炉圧力容器、炉心領域の母材及び溶接部、低サイクル疲労、中性子照射脆化、照射誘起型応力腐食割れ、相ステンレス鋼の熱時効、電気・計装設備の絶縁低下、コンクリートの強度低下、鉄骨の強度低下、他の劣化事象)。

(5)IAEA深層防護の考え方と「新規制基準」で第五層を除外していることを認めたが、第5層を規制当局が規制することまではIAEAは求めていないとの回答。まさに「新規制基準」は世界最低水準!」

 

最後に、フロアから、福島はまだ収束していないとの意見。

 また、大河原まさ子議員から一言。東海第二の再稼働はとても理解が得られるものではない。原子力規制庁の方々もそう思っているのではないか。引き続き市民との対話を継続していきたい、この国の形を大きく変えていきたい。

以上